所長のブログ

消費者金融の借入があると創業融資は厳しい? ~その理由と対応策~(2025.04.18.)

「これから事業を始めるにあたって、創業融資を活用したい」
そんなご相談を多くいただきます。
創業融資とは、創業前〜創業後おおむね5年以内の個人・法人事業主が、事業立ち上げ時の運転資金や設備投資に活用できる融資制度です。
特に日本政策金融公庫や地方自治体の制度は利用しやすく、資金繰りの大きな助けになります。
しかし、「消費者金融からの借入」があると、この創業融資に思わぬ落とし穴が生じる可能性があります。

創業融資の審査において、その借入が大きなマイナス評価になってしまうことがあるのです。


■ 創業融資と消費者金融の借入は相性が悪い?

たとえば、日本政策金融公庫の融資を申し込む場合、以下のような目安があります。

・消費者金融の借入が100万円以上ある方審査はほぼ通らない

50万円以上ある方かなり厳しい審査になる

これは、地方自治体の創業融資でも同様です。

なぜかというと、金融機関側は「この融資を使って消費者金融の借金を返すのでは?」という疑いを持つからです。

本来、創業融資は事業のための資金です。

その資金が個人的な借金の返済に回るようだと、本来の目的から外れてしまいます。


■ 借入を返せばOK? 実は「完済してすぐ」でもまだ不利になる理由

では、「借金を完済すればいいのでは?」と思う方も多いでしょう。

たしかに、創業融資を受けるには消費者金融の借入を完済しておくことが前提です。

しかし、完済したからといって、すぐに融資の審査が通るわけではないのです。

多くの場合、金融機関は次のような見方をします。

「完済したのはいいけれど、またすぐ借りるんじゃないか?」

こうした懸念から、完済後も3か月〜半年ほどは様子を見られる期間があるのが一般的です。

■ 信用を回復するには?「待つ」だけでなく、できることがあります

完済後にただ待つだけでなく、この期間に信用を少しずつ積み上げていくことも可能です。

以下のようなことを行うと、金融機関からの信頼を得やすくなります:

● 現状の報告を毎月行う

・簡単な売上や経費の報告(試算表など)を作る(事業を始めている場合)

・起業準備の進捗状況を整理して報告する(準備期間の場合)

● ビジネスプランを整える

・創業計画書、資金計画をしっかりと準備する

・数字に根拠があることを示す

こうした積極的な取り組みによって、

「この人はしっかり準備して、事業に真剣に取り組もうとしているな」

という印象を持ってもらうことができます。


■ 創業融資を受けたいなら、早めの準備がカギ

消費者金融からの借入は、創業融資にとってはハードルになります。

だからこそ、「将来的に融資を受けるかも」と思っている段階で、できるだけ早く借入を整理しておくことが大切です。

また、完済後も3か月〜半年は待機期間があると見込んで、余裕をもったスケジュールで起業準備を進めることをおすすめします。


■ まとめ:創業融資を成功させるために、今からできること

 消費者金融からの借入は、50万円以上で審査が厳しくなり、100万円以上でほぼ不可能に

 完済しても、すぐには融資申請せず、36ヶ月は様子を見るのが無難

 その間に、毎月の現状報告や創業計画の準備を行い、金融機関との信頼関係を築く

 

創業融資をスムーズに受けるためには、資金の準備だけでなく、「信用の準備」も欠かせません。
弊所では、借入状況の整理や創業計画書の作成サポートなど、事業立ち上げに向けたトータルサポートを行っております。
ご不安な点があれば、ぜひお早めにご相談ください!
事前の準備で、融資の可否は大きく変わります。

イニシエーションと現代組織論~いま求められる組織の在り方とは?~(2025.04.03.)

1.はじめに

先日TBSで放送された『オールスター感謝祭』で起こった江頭2:50による永野芽郁への襲撃が大きな議論を呼んでいる。視聴者からはTBSのキャスティングミスを指摘する声が多く上がり、江頭本人も謝罪する事態となった。

この出来事についての記事を読んで私が連想したのは、秋田の伝統行事「なまはげ」だ。恐ろしい格好をした「なまはげ」が、子どもたちを追いかけて、子どもたちは恐ろしさのあまり泣き叫ぶ、という図が頭に浮かんだわけだ。

とはいえ、なまはげが「悪い子はいねが」と叫びながら家々を巡るこの伝統行事は、単なる怖がらせではなく、地域社会のルールを伝え、子どもを共同体の一員として成長させるための儀式でもある。つまり、「なまはげ」はその地域に属する人々の意識を育て、共同体の一体感を強める役割を担ってきた。

このような通過儀礼(イニシエーション)は、日本社会において長く機能してきた。ムラ社会では、「仲間内」と「それ以外」を明確に分けることで共同体を維持してきたし、社会生活のなかでも、企業や各種団体などの組織において新しいメンバーが「仲間内」として認められるためには、一定の試練を乗り越える必要があるとされてきた。

しかし、現代の働き方や組織のあり方は、このような「内集団(in-group)」と「外集団(out-group)」の明確な区分を超えつつある。ティール組織やプロジェクトベースの仕事が増えるなかで、従来のような排他的な「仲間内の論理」は時代遅れになりつつあるのではないか。

そこで、本稿では「なまはげ」に象徴されるイニシエーションの役割を考えつつ、組織における「内集団と外集団」の論理がどのように変化しているのか、さらに現代における新たな組織論への転換を考察していく。


2. 内集団と外集団~「仲間内」と「それ以外」の構造~

社会心理学では、私たちが所属する集団を「内集団(in-group)」、それ以外の人々を「外集団(out-group)」と呼ぶ。人は本能的に内集団への帰属意識を持ち、その成員を優遇しようとする一方で、外集団に対しては排他的な態度をとりやすい。

これは、日本のムラ社会にも色濃く反映されてきた。地域共同体、企業、芸能界など、あらゆる集団において「内集団」としての結束が求められ、そこに入るためには何らかの試練を乗り越えなければならない。その代表例が、イニシエーション(通過儀礼)である。


3. イニシエーションの役割~「なまはげ」から企業文化まで~

(1) 伝統社会におけるイニシエーション

日本の伝統的な共同体では、イニシエーションが新しい成員を迎え入れる重要な手続きだった。冒頭で触れた秋田の「なまはげ」は、子どもに恐怖を与えることで「しっかりした人間に成長するように」とのメッセージを伝えると同時に、地域社会への帰属意識を高める役割を担っていた。

また、職人の世界では徒弟制度が存在し、厳しい修行を経ることで「一人前」と認められる文化があった。

(2) 現代のイニシエーション

こうしたイニシエーションの論理は、現代にも形を変えて受け継がれている。芸能界では、新人が先輩に厳しく指導されたり、バラエティ番組で体を張ることで「芸能界の洗礼」を受ける慣習がある。冒頭で取り上げた江頭2:50の行動も、その文脈で捉えることができるかもしれない。

また、日本企業の「飲みニケーション」や「新人研修の厳しさ」も、一種のイニシエーションだ。新入社員が過酷な研修を受けることで、「仲間」として認められる風潮は、企業文化に根強く残っている。

このような「内集団」と「外集団」の区別は、企業における結束力を強化する一方で、閉鎖的な文化を生み出す要因にもなっている。そのため、現代のグローバル化した社会においては、こうした伝統的な枠組みが課題となりつつある。

4. 現代の組織や働き方の変化とイニシエーション

(1) 現代の組織は「内集団」の論理を超えつつある

この流れを受けて、現代の組織は「内集団」と「外集団」の明確な区分を弱めつつある。特に、ティール組織やプロジェクトベースの働き方が広がる中で、固定的な「仲間内」という概念は不要になりつつある。

例えば、映画業界では「映画〇〇〇政策委員会」のようなプロジェクトベースの離合集散型の組織が主流になっている。これは、特定の「内集団」に長く属するのではなく、その都度、新たな人々とチームを組み、解散するスタイルだ。

また、株式会社ソニックガーデンでは、「管理職ゼロ」の組織運営を実践している。上司や部署、評価制度を廃止し、社員が自主的に働ける環境を整え、休暇の取得や働く場所も自由で、複業も許可されている。そのうえで、業績は好調、組織としての生産性は高い。このような自由な環境と働き方は、これまでのピラミッド型で組織への忠誠を求める「内集団的」組織とはまったく異なっている。(https://www.kikunoblog.com/sonic-garden/)。

こうした環境では、過去のような厳しいイニシエーションは意味をなさなくなってきていると考えられる。

(2) イニシエーションを必要としない組織の在り方

この変化を受け、「イニシエーションはもう不要ではないか?」という議論が生まれている。従来の組織では、新しいメンバーを迎え入れるために何らかの試練を課し、それを乗り越えることで組織の一員として認められる文化があった。しかし、フラットな組織やプロジェクト型の働き方が主流になりつつある現代では、そのような試練の意味が問われるようになっている。

そもそも、イニシエーションは「組織の価値観を内面化し、成員の一体感を高める」ことを目的としていた。しかし、価値観が多様化し、組織の枠組み自体が柔軟になった今、その必要性は低下している。とくにティール組織やホラクラシーのような構造では、トップダウンの承認を受けるのではなく、各メンバーが主体的に役割を担い、自然に組織へ適応していく形が理想とされる。

また、イニシエーションの根底には「内集団と外集団を分ける」考え方がある。だが、これからの組織はむしろ境界を取り払い、誰もがスムーズに出入りできる開かれた構造を目指すべきではないか。例えば、オープンソースの開発コミュニティでは、新規参加者が特定の試練を経ることなく、即座にプロジェクトに貢献できる仕組みが整っている。これは「内と外の区別をしない組織」の好例だろう。

このように考えると、イニシエーションが不要な組織とは、「個々のスキルや価値観を尊重し、柔軟に協働できる環境を提供する組織」と言い換えられる。そこで重要になるのは、従来のような「苦痛を伴う試練」ではなく、「メンバーの成長を支援する仕組み」だ。


5. おわりに~組織の新しいあり方を模索する~

『オールスター感謝祭』での出来事が議論を呼んだ背景には、「内集団と外集団の論理」が現代の感覚とズレつつあるという事実がある。従来のイニシエーションは、排他的な共同体の維持には有効だったかもしれないが、現代のフラットな組織とは相性が悪い。

では、今後の組織において、どのような新しい仕組みが求められるのか? その一つの答えが、「成員の自主性を尊重し、誰もが自然に組織に溶け込めて、自らの成長を図ることができる環境」が整っている組織なのではないだろうか。

例えば、ティール組織では、新メンバーがチームに馴染むためのワークショップやメンター制度が設けられている。こうした「柔軟な適応プロセス」は、従来のイニシエーションの代替となりえそうだ。

時代の移り変わりにともなってこのような新たな組織文化が浸透する過程で、従来の「仲間内の論理」を重視する人々は、オープンでフラットな組織への適応を進めていかなければならない。この適応の過程は、もしかすると「仲間内の論理」から新たなオープンスペースへと飛び出すための「新時代のイニシエーション」となるのかもしれない。

(文責:松下裕)

大阪の『おかん』vs イタリアの『ママン』:表と裏の女帝たち(2025.03.18.)

1. はじめに

先日、TVでなすなかにしの街ブラ番組「土曜の朝はほめるちゃん」(毎日放送)を見ていると、蒲生四丁目(通称:がもよん)の商店街の喫茶店のおばちゃんが、一緒に厨房に立っているご主人に「違うがな、白い皿ゆうたやん」「3枚に決まっとるやろ、3人お客さんいてはんねんから。。。」とキビしい言葉を浴びせ、ご主人は「ほんま怖いわぁ」と嘆く、という図が繰り広げられていました。

昔から大阪の男性は、家庭内で女性が強いことをネタにしながらも、その支配を受け入れているように見えます。この構造は、一見すると日本独特のものに思えますが、意外にもイタリアのマフィア社会における「ママン(母親)」の権力構造と共通する点が多いのです。

大阪の人々は「ラテン気質」とも称される明るさやノリの良さを持ち合わせていますが、それは単なる性格の問題ではなく、文化的背景に根差したものです。本記事では、大阪とイタリアのマフィア文化における女性の権力構造を比較しながら、その共通点と相違点を考察します。

2. 大阪における女性の権力とその背景

2.1 商人文化と女性の役割

大阪は江戸時代から「天下の台所」として栄え、多くの商人が活躍していました。商家では、女性が帳簿を管理し、時には取引を担当することもありました。このように、家計や商売を切り盛りする能力を持つ女性が多く、男性よりも実質的な決定権を持つことが少なくありませんでした。

2.2 笑いの文化と女性の影響力

大阪といえば「笑いの文化」が根付いています。漫才や落語において、女性が男性を叱る構図は定番であり、大阪の夫婦関係にも見られます。女性が強く振る舞うことが自然なこととされ、男性は「尻に敷かれる」ことを笑いに昇華することで、その力関係を受け入れています。

2.3 都市化と女性の社会進出

大阪は日本の中でも都市化が早く進んだ地域であり、女性の労働参加率も高い傾向があります。1950年代から始まった「臨時家政婦派遣制度」などの施策もあり、女性が社会の中で重要な役割を担うことが当たり前になっていきました。これにより、女性が家計や家庭内の決定権を握る構造がさらに強化されました。

3. イタリアのママン文化とその影響

3.1 マフィア社会におけるママンの役割

イタリアのマフィア文化において、母親は表向き家庭を守る存在として扱われますが、実際には息子や夫に対して大きな影響を持つ「陰の権力者」として機能します。シチリアのマフィアでは、母親が息子に忠誠心を教え、時には復讐を決意させる存在になることさえあります。「ゴッドファーザー」などの一連のマフィア映画でも、しばしば描かれる光景です。

3.2 カトリック信仰と母親崇拝

イタリアの社会では、カトリック信仰の影響が色濃く、「聖母マリア崇拝(マドンナ信仰)」が根付いています。これにより、母親は絶対的に尊敬されるべき存在であり、家庭内においても強い発言力を持つようになっています。この点は、大阪の「おかん文化」とも通じる部分があります。

3.3 表には出ない権力

マフィア社会のママンは、公式には権力を持たない存在ですが、家族内での決定には大きな影響を及ぼします。大阪の女性もまた、表向きは「内助の功」として振る舞いながらも、実際には家庭の意思決定を担うという点で共通しています。

4. 大阪とイタリアの共通点と相違点

4.1 共通点

  • 家庭内の女性の権力の強さ: どちらも表向きには「夫や息子を支える」役割を担っているものの、実際には決定権を持つ。
  • 文化としての笑いと寛容さ: 大阪の男性が女性の強さを笑いにするように、イタリアの男性も母親の影響力を誇らしげに語ることが多い。
  • 都市文化と商業の発展: 大阪もイタリアも、商業都市として発展してきた歴史があり、女性が経済的な役割を果たすことが多い。

4.2 相違点

  • 表現の違い: 大阪では女性の強さがユーモアの要素として扱われるが、イタリアでは伝統や宗教の影響が強く、母親への尊敬がより形式的に表現される。
  • 権力の見え方: 大阪の女性は公然と「おかん」として振る舞うが、イタリアのママンは「裏の支配者」としてより控えめに影響を及ぼす。
  • 社会的な制約: イタリアでは依然として家父長制の影響が強く、女性が表立って権力を持つことは難しいが、大阪ではよりオープンに女性の発言力が認められている。


5. まとめ

大阪の夫婦関係における女性優位の構造と、イタリアのマフィア社会におけるママンの権力は、歴史や文化を背景にして生まれた共通の現象であることがわかります。どちらも、女性が家庭の実質的な決定権を持ち、男性がそれを受け入れる文化が根付いています。

しかし、その表現の仕方には違いがあり、大阪では「笑い」と「商業文化」が、イタリアでは「宗教」と「伝統」が、その権力構造を形作っています。

大阪のラテン気質とママンの文化は、一見異なるようでいて、根底には共通する価値観が流れているのです。この比較を通じて、文化が人々の行動や価値観にどのように影響を与えるのか、改めて考えさせられるのではないでしょうか。

ひょっとすると、あなたの会社の中の権力構造にも、「おかん」の文化が潜んでいるのでは? そんな意識で見回すと、企業内の意思決定やリーダーシップのあり方を見直すヒントが得られるかもしれません。

(文責:松下裕)

クラウドファンディングで資金調達! 概要と注意点(2024.12.11.)

こんにちは! 今回は、クラウドファンディングで資金調達を考えている個人事業主や小規模企業の皆さまに向けて、その概要や税務面での注意点について解説します。これを読めば、クラウドファンディングを活用する際の重要なポイントがわかります!

 クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の支援者から少額の資金を集める方法です。銀行融資や大規模な投資家からの資金調達が難しい場合でも、小規模事業者がアイデア次第で資金を集めるチャンスを提供してくれるのが特徴です。

クラウドファンディングには以下の種類があります:

  1. 購入型:リターン(商品やサービス)を提供する形で資金を調達する。
  2. 寄付型:支援者が対価を求めず、純粋に寄付として資金を提供する。
  3. 投資型:株式や配当を提供する形で資金を調達する。

本記事では、多くの小規模事業者が利用している「購入型」に焦点を当ててお話します。

クラウドファンディングのメリットとデメリット

◆ メリット

(1) 資金調達のハードルが低い

事業の規模や実績に関係なく、よいアイデアさえあれば資金を集められる可能性があります。銀行融資のように担保や信用力が求められることがないため、スタートアップや個人事業主にとって有効な選択肢です。

(2) 支援者との直接的なつながり

資金提供者(支援者)は、プロジェクトに共感や関心をもって支援します。そのため、支援者との双方向のコミュニケーションを通じてブランドや商品のファンを増やすきっかけとなります。

(3) 資金調達と同時に商品・サービスの先行販売が可能

とくにリターン型のクラウドファンディングでは、商品の提供をリターンとすることで、事実上の先行販売が可能になります。これにより、製品開発費用や製造コストを先に確保することができます。

◆ デメリット

(1) 必ずしも成功するとは限らない

プロジェクトが魅力的でない場合や、十分な広報が行えない場合、目標金額に達しないリスクがあります。

(2) 実行後の責任

資金調達が成功した場合、支援者に対してリターンを提供する義務があります。製品やサービスの開発が遅れる、あるいは品質が期待を下回ると、信頼を失うリスクがあります。

(3) 手数料の負担

多くのクラウドファンディングプラットフォームでは、資金調達額に対して手数料(520%程度)が発生し、資金的なリスクとなります。

クラウドファンディングをマーケティングに活用する

クラウドファンディングは資金調達だけでなく、マーケティングやブランディングの手段としても非常に有効です。以下のポイントを活用して、事業の成長に繋げることができます。

① 市場テスト

新商品の需要を事前に確認する「市場テスト」の場として利用できます。支援者の反応を分析し、改善点を取り入れることで、製品やサービスの質を向上させることができます。

② ファンコミュニティの構築

クラウドファンディングの過程で集まる支援者は、将来的な顧客や応援者になる可能性があります。プロジェクトの進捗や制作過程を共有することで、親近感を育て、リピート客を生むきっかけに繋げられます。

③ 広報効果

プロジェクトが話題になることで、SNSやメディアで取り上げられる可能性があります。これにより、広い層にブランドや商品を知ってもらえるチャンスが増えます。

④ 販売チャネルの拡大

クラウドファンディング終了後も、成功したプロジェクトは新たな販売チャネルの開拓に繋がります。例えば、ECサイトやリアル店舗での販売展開がスムーズになります。

購入型クラウドファンディングの税務上の注意点

購入型クラウドファンディングでは、支援者へのリターン(商品やサービス)提供があるため、クラウドファンディングで得た資金は、基本的に収益とみなされ、税務申告が必要です。初めてクラウドファンディングを検討する方には特に重要な点ですので、ご留意ください。

① 所得税・法人税

購入型クラウドファンディングで集めた資金は、「売上」として計上されます。この際、製品やサービスの製作費や手数料などのコストを必要経費として差し引けます。ただし、残った利益部分に対して所得税(個人の場合)または法人税(法人の場合)が課されます。

注意点

  • 計上漏れや過少申告をすると、税務調査のリスクがあります。
  • 必要経費に含める領収書や証憑書類を必ず保管しましょう。

② 消費税

クラウドファンディングで得た資金がリターンの対価である場合、消費税の課税対象となります(課税事業者の場合)。基準期間の年間売上が1,000万円未満の免税事業者の場合、消費税の申告義務はありません。

ポイント

  • 収益の明確化:クラウドファンディングで得た収益は、他の売上と区別して管理すると申告がスムーズです。
  • 消費税計算の注意:クラウドファンディングの資金が消費税課税対象になる場合、その課税基準を理解しておきましょう。
  • 専門家への相談:特に初めてクラウドファンディングを利用する場合、事前に税理士などの専門家に相談しておくと安心です。

まとめ

クラウドファンディングは、単なる資金調達の手段ではなく、マーケティングや市場調査、ファン作りにも役立つ方法です。しかし、税務処理をしっかり行わないと、後々トラブルの原因となります。

ご不明な点やサポートが必要な場合は、ぜひ私たちにご相談ください。税理士などの専門家を交えてチームとして一緒に最適なプランを考え、クラウドファンディングの成功をサポートします!

(文責:松下 裕)

借入金返済のリスケ検討は「早め」が成功のカギ!(2024.11.26)

借入金返済のリスケ検討は「早め」が成功の鍵

こんにちは、所長の松下です。

中小企業の経営者にとって資金繰りの悩みは避けて通れない課題です。しかし、その対応を後回しにしてしまうことで、最悪の事態に陥る企業が少なくありません。

今回は、「借入金返済のリスケジュール(リスケ)」について、その検討を始めるタイミングと具体的なステップをご紹介します。特に、早めの準備がいかに重要かを掘り下げていきます。

 

リスケとは?

リスケとは、金融機関と交渉して借入金の返済条件を見直すことを指します。月々の返済額を軽減したり、一時的に元金の支払いを猶予してもらったりすることが主な内容です。この手続きは、資金繰りを改善し、経営再建を進めるための重要な選択肢の一つです。

しかし、リスケは「事業を続けたい」という強い意思と具体的な計画があって初めて認められるものであり、ギリギリのタイミングでの依頼では応じてもらえないケースが多いです。 


リスケを検討するベストタイミング

1. リスケ検討は「6か月前」から始めるべき

「来月から返済ができない」といったタイミングでリスケを申し出ても、金融機関は応じてくれません。彼らも審査や交渉に時間が必要です。

リスケを検討するベストタイミングは、資金繰りが厳しくなる【6か月前】です。
この時点ではまだ資金に余裕があり、冷静に計画を立てることが可能です。また、金融機関との交渉にも時間をかけられるため、事業者にとって有利な条件を引き出しやすくなります。

2. 直近の決算で「債務超過」になったら要注意

決算で債務超過が明らかになったタイミングは、リスケ検討の重要なサインです。この状態では、新たな融資を受けるのが難しくなるため、早急に資金繰りの改善策を模索する必要があります。

リスケの準備ステップ

リスケの準備ステップ

1)リスケ実行の6か月前:資金繰り表の作成

最初のステップは、半年先までの資金繰り表を作成することです。
資金繰り表を作成することで、現状の財務状況や資金繰りの深刻度を具体的に把握できます。また、経営者自身が危機感を持つきっかけにもなります。

23か月前:融資の依頼を行う

リスケの実行を目指す時期の3か月前には、あえて金融機関に新規融資を依頼してみましょう。多くの場合、融資は断られるでしょう。しかし、これがポイントです。「融資を断られた」という事実を金融機関に認識させることで、リスケへの理解を得やすくなります。

32か月前:経営改善計画書の提出

リスケを正式に依頼する際には、具体的な「経営改善計画書」を金融機関に提出する必要があります。この計画書には、事業の収益改善策や資金繰りの改善目標を盛り込み、どのように経営を立て直すかを明確に示します。

計画書の内容を審査するには、最低1か月程度の時間がかかります。さらに交渉に時間が必要な場合も多いため、提出はリスケを希望する時期の2か月前が理想です。

リスケのメリットとデメリット

リスケを検討するメリット

上記のように、早めにリスケを検討し、計画的に進めることで以下のメリットがあります:

  • 資金繰りに余裕を持たせることができる
  • 金融機関との交渉を有利に進められる
  • 事業継続の可能性が高まる

 リスケを行うデメリット

しかし、リスケにはメリットだけでなく、いくつかのデメリットもあります:

  • 新たな借入が難しくなる
  • 金融機関への報告義務があり、手間暇がかかる
  • リスケ後に経営が悪化すると、より厳しい条件を突きつけられる場合も

リスケを行うと、金融機関での信用情報には確実に悪影響があります。新たな借入は難しくなると思ってください。

また、「経営改善計画書」に基づいて具体的な改善策を実行しなければなりません。経営者や従業員に大きな負担をかけるだけでなく、金融機関への報告等で時間がとられ、本業に十分なリソースを注げなくなるリスクがあります。計画が順調に進まない場合は、より厳しい条件を突きつけらることもあります。

これらのデメリットを踏まえて、慎重な検討が必要といえます。

まとめ

リスケの成功には「早めの準備」と「計画的な行動」が欠かせません。最悪の事態を避けるためには、リスケ検討を6ヶ月前から始めることがポイントです。また、資金繰りが楽になっても、その後の経営に影響を及ぼすデメリットもありますから、慎重な検討が必要です。

資金繰りの不安を抱えている方は、ぜひアシステンツァ行政書士事務所までご相談ください。あなたの事業再建を、全力でサポートいたします。

アシステンツァ行政書士事務所ができること

私たちは、リスケの相談から経営改善計画書の作成、金融機関との交渉までトータルでサポートします。
また、資金繰り表の作成や財務状況の分析を通じて、経営者が抱える課題を整理し、次の一歩を踏み出すお手伝いをしています。
ケースに応じて、弁護士や経営コンサル会社との連携を行って万全のサポート体制を整えます。

「もう遅いかもしれない」と感じている方も、ぜひ一度ご相談ください。(初回相談は無料)

一緒に最善の方法を探し、経営再建への道を切り開きましょう。